東芝はもうオワコン!?改めて企業分析をしてみよう
企業概要
東芝とは、旧社名の「東京芝浦電気」の略を取った名称で、1875年創業の総合電機大手の会社です。
高度成長期は日本を支えた企業と言えますが、直近は上場廃止も危ぶまれる状況になっております。
様々な業界に参入しており、主に鉄道・エアコン・半導体・リチウムイオン電池・発電所・5G・量子コンピュータ・脱炭素・産業機械・パワー半導体などの分野で活躍しております。
様々な分野で活躍している東芝ですが、過去に不正会計という大問題で話題にもなりました。
そのため、改めてここで分析させていただきますので、個人投資家の皆様はぜひ参考にしてください。
近年の状況
・2006年に米ウェスチングハウス(WH)社を買収し、原子力発電の世界的大手になりましたが、
15年に不正会計が発覚しました。
・2017年に米原発建設の費用超過でWHが経営破綻するなど17年3月期に巨額債務超過に転落。
・大規模な人員削減、医療機器や白モノ家電、稼ぎ頭のフラッシュメモリ、パソコン、テレビなど多数の事業売却(メモリは持分法適用)、第三者割当増資などで債務超過脱却。残ったインフラ系事業で再出発している状況です。
財務分析
直近5年間の決算状況を確認していきます。
売上高の過去5年間の推移

営業利益の過去5年間の推移

当期純利益の過去5年間の推移

キャッシュフロー計算書の過去5年間の推移

総資産・現金同等物・純資産の過去5年間の推移

その他経営指標等の過去5年間の推移

売上高分野別内訳(2022年3月期)

それぞれの財務諸表のデータを確認すると、
- 売上高は減少傾向にあるが、営業利益は伸びている。
- 当期純利益は2期連続上昇を続けている。
- 営業活動におけるキャッシュフローがプラスの傾向にある。
これらの状況を考慮すると、本業は支出の削減などによる企業努力によって堅調であることが推察できます。
一方で、その他経営指標等の推移を見ると、各種資本比率は悪化傾向にあるため、
財務の安全性は下がってきていると言えます。
株価の動向
次に、企業の評価をリアルに反映している株価の動向をチェックしていきます。
株価はその企業の将来性をリアルに反映しているため、常にチェックが必須です。

東芝の株価は2,000円~5,000円の間で推移しています。
また、巨額債務超過に陥った時から回復しており、過去10年間の最高株価は2022年6月2日の5,922円、最低は2016年2月12日の1,580円となっていることから東芝に対する投資家心理は改善していると言えます。
同業他社は?
東芝は様々な事業を行っているため、多数の同業他社が存在します。
今回はその中でも半導体・鉄道・リチウムイオン電池の売上高ランキングを紹介します。
■半導体売上高ランキング
順位 | 企業名 | 売上高 |
1 | ソニーグループ | 9.9兆円 |
2 | 東芝 | 3.3兆円 |
3 | ルネサスエレクトロニクス | 9,944億円 |
4 | 富士電機 | 9,102億円 |
5 | サンケン電気 | 1756億円 |
■鉄道売上高ランキング
順位 | 企業名 | 売上高 |
1 | 日立製作所 | 10.2兆円 |
2 | 日本製鉄 | 6.8兆円 |
3 | 三菱電機 | 4.4兆円 |
4 | 三菱重工業 | 3.8兆円 |
5 | 東芝 | 3.3兆円 |
■リチウムイオン電池売上高ランキング
順位 | 企業名 | 売上高 |
1 | トヨタ自動車 | 31.3兆円 |
2 | 日産自動車 | 8.4兆円 |
3 | パナソニックホールディングス | 7.3兆円 |
4 | 東芝 | 3.3兆円 |
5 | TDK | 1.9兆円 |
【結論】東芝の今後はどうなる?
上場が廃止される可能性はあるのか?
東芝は現在、非上場になる可能性を含んでおります。
その原因は英ファンド・CVCキャピタル・パートナーズが東芝を買収した後に非公開化するという提案をしたことがきっかけです。
東芝の株主にはアクティビスト(モノ言う株主)が多いため経営陣とたびたび対立、再建が前に進まないことがありました。
そのため、株式を非公開にすることで株主との対立を避け、経営再建を進める狙いがあったとのことです。
この提案は、実行されておりませんが、まだ状況は未定となっております。あくまでも東芝は上場維持を継続しようとしており、半導体などのデバイス部門を独立させる案も提案しましたが、実現しませんでした。

現在、東芝は再建策を公募するという形をとっております。その中で、4社が検討段階に入っているとのことで状況は以下のとおりになります。
4社が再建策を提示。うち3社は非上場案

こちらは東洋経済の記事から引用したものになりますが、ブルックフィールド・アセット・マネジメント以外は非上場案を提案しているようです。非上場になるともちろん取引所で株式を取引することはできません。
現在は8月のため、夏季休暇の期間であることや、外為法などが障壁となっていることからすぐに再建案が決まることはないと思いますが、冬ごろには買収先が決定され、最悪の場合は上場廃止となる可能性も含んでおります。
それでは、非上場になった場合どうなるのか?次で見ていきます。
非上場になるとどうなるのか?
基本的に非上場になる前に取引所で売却しましょう。
一般的にはTOBが実施され、ほとんどの株式がこのタイミングで吸収されることが想定されます。
しかし、TOBの期間中に売却しない場合は2度と換金できない場合もありますので株式を保有している人は注意をしてください。
もしくは100%減資という形を取ると、株式の価値はいきなり0となります。
こういったリスクを抱えているため、早めの売却をお勧めします。
まとめ
- 現在の本業は比較的安定している。
- 事業再編の中で上場廃止になるリスクを含んでいる。
- 事業再編は早くとも2022年冬ころか?
- 上場廃止になる場合は、TOB期間中に売却すること!
- いきなり価値が0になることもありえる。
以上、皆様のお役に立てましたら幸いです。
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