売上高営業利益率とは
売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合を表す指標です。売上高のうちどれくらいが営業利益として残るかを意味します。
営業利益率は売上高のうちどの程度が営業利益として残るかを意味する指標であるため、数値が大きいほど本業がうまくいっているといえます。
営業利益は、次の2つの観点から分析することができます。
- 商品やサービス自体に問題がないか
- 販売までのコストがかかり過ぎていないか

なぜ重要な指標なのか?
先述しましたが、売上高営業利益率は、本業の売上高に対して、どれくらい営業利益として残っているかを表します。この数値が大きいほど本業が上手くいっていると言えるため、経営基盤にとって一番大事な本業の収益性を図ることができます。
したがって、株式の購入を検討する場合に絶対に欠かせない指標となっております。また、業界のある程度の水準を知っておくことで、個別企業が業界の中で優れているのか、劣っているのかを判断することができるため、今回の記事は一読しておき、ブックマークしておくことをおすすめします。

2022年度6月時点の売上高営業利益率がもっとも高い業種は?
2022年度6月時点の売上高営業利益率がもっとも高い業種は「M&A助言・仲介」となっております。なんと2位の「CRO・臨床検査・薬」と比べて10ポイント以上上回っており、業界全体的に営業利益率が高いと言えます。

過去のランキングは??
ちなみに2022年の1位はM&A助言・仲介ですが、2022年の1位も同じくM&A助言・仲介となっております。(売上高営業利益率31.33%)一方で、2021年の1位は「ベンチャー・VC」(売上高営業利益率26.46%)となっております。業種は増えたり減ったりするため、正確な比較は難しいですが、おおまかな傾向としては、物を売るのではなく、サービスを売る業種がランキングの上位になっている印象です。
圧倒的に売上高営業利益率が高いM&A助言・仲介業とは!?
業界規模は16兆4,844億円(日本企業が関連するM&Aの取引総額、2021年、レコフデータ調べ)となっており、2010年代以降、グローバル化を狙う国内企業による海外企業のM&Aや、後継者不足に伴う中小企業のM&Aが相次ぎ、M&A件数は右肩上がりが続いていましたが、コロナ禍で20年は一服しました。

一方、取引総額は18年、武田薬品による製薬大手シャイアー社の6兆円規模の大型買収で一時的に膨らんだという一過性はあるものの、今後もグローバル化・後継者不足などが追い風にはなると思います。一方で、株高は買収金額が高くなり、円安は海外企業の買収をしにくくするため、逆風も吹いている業種と言えます。
財務面では、業種の特性上、大きな資金調達を行って設備投資を行ったりする必要性がないため、自己資本比率は高い傾向にあります。従って、企業の安定性も高く、投資対象としての妙味は高いと言えます。
その中でも一番利益率が高い企業は?
更に気になる点としては、最も売上高営業利益率が高い「M&A助言・仲介業」の中で最も利益率が高い企業はどこかということになりますね。
一番売上高営業利益率が高い企業は、(6080)M&Aキャピタルパートナーズとなっています。驚きの売上高営業利益率は43.55%!!
売上高に対して、利益率が高すぎる・・・。
※M&Aキャピタルパートナーズに関しての分析は別途アップいたしますね。

2022年度6月時点の売上高営業利益率がもっとも低い業種は?
2022年度6月時点の売上高営業利益率がもっとも低い業種は「空運」となっております。なんとワースト2位の「ホテル業」と比べて15ポイント以上下回っており、特に運輸系や交通系はコロナによって大打撃となっております。

過去のランキングは?
ちなみに2022年のワースト1位は空運ですが、2022年のワースト1位も同じく空運となっております。(売上高営業利益率-70.54%)一方で、2021年のワースト1位は「先端医薬ベンチャー」(売上高営業利益率-33.69%)となっております。業種は増えたり減ったりするため、正確な比較は難しいですが、近年の傾向としては、コロナにより、観光系や物流・運輸など、人が移動することによって売上を生む業種が厳しくなっているととれます。
圧倒的に売上高営業利益率が低かった空運業界に何が起こっている!?
直近の国内旅客数は4533万人(旅客機、2021年、国土交通省「航空輸送統計速報」)世界の旅客数は23億人(旅客機、21年、ICAO〈国際民間航空機関〉)となっており、後述する通り、徐々に回復傾向にあります。
例えば、「県民割」などの旅行支援策によって観光客が増加しています。2022年のゴールデンウィーク期間の利用実績を見ると、日本航空(JAL)の提供座席数はコロナ前の93%、旅客数は70%、全日空(ANA)は同74%、55%まで回復している。通年の旅客需要は、JALは90%、ANAは80%まで戻ると見込んでいます。
一方で国際線は、各国のコロナ対策に左右されるため視界不良が続き、個人的にはまだまだ回復が難しいと思っています。日本では、検疫強化を目的とした入国者数の制限が続いており、海外でも中国は入国前に2回PCR検査を受け、入国後も地域によって隔離検査が必要です。加えて、原油高騰と円安の影響で、燃油サーチャージも上昇が続いており、ANAでは22年8月から9月末まで北米への片道で4万9000円の燃油サーチャージが加算されました。22年以降も高騰が続けば、海外旅行が復活しても、需要に水を差しかねない状況となっております。

その中でも一番利益率が低い企業は?
更に気になる点としては、最も売上高営業利益率が低い「空運業」の中で最も利益率が低い企業はどこかということになりますね。
一番売上高営業利益率が低い企業は、Peach・Aviation(ピーチ・アビエーション)となっています。驚きの売上高営業利益率は-103.03%!!
売上高に対して、営業利益率が-100%を超える事態に・・・。
Peach・Aviation(ピーチ・アビエーション)はANAHD傘下の2012年に運航開始をした企業です。コロナが流行する前は格安航空LCCで売り上げトップとなっていましたが、現在は、海外との空運がほぼ死んでいるため、とんでもないマイナスをたたき出してしまったということになります。
海外の空運はまだしばらく戻りが鈍いと思われるため、まだ、大きなマイナスからの脱却は難しいと思われます。
今後の業界動向はどうなる!?
まず、低迷しそうな業種についてですが、2022年は2021年よりもコロナが収まってきてはいます。しかし、日本はまだまだコロナへの対策意識が高く、人の移動は国内に留まっているため、空運・一部のサービス・交通系は厳しい状況に変わりはなさそうです。しかし、政府の後押しなどもあり、一部の回復は見られるため、個別の企業を分析することによって割安の企業を発見することができると思います。
好調な業種については、引き続き物を売るのではなく、サービスを売る業種が売上高利益率を高く維持すると予想されます。従って、来年も同じような業種がランキングの上位に名を連ねるのではないかと思っております。

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