シミックホールディングスが今大注目されている!?
今、シミックホールディングスが大注目となっています。
四季報オンラインの検索が急上昇しており、なぜ大注目となっているか疑問に思っている方も多いはず。
そこで今回はなぜ大注目されるようになったのか?また、シミックホールディングスってなんの会社?どんな業績なの?といった疑問を解消していこうと思います。
会社概要
世界的にヒットした三共の高脂血症治療薬「メバロチン」を開発した中村和男氏が独立して起業。日本初の医薬品開発業務受託機関(CRO)となった。2002年にはジャスダック上場を果たしており、3年余で東証1部上場に至ったスピード感のある企業。現在は、CRO部門でイーピーエスと業界首位を争っている。医療機関の治験支援、医薬品の受託開発製造、販売支援や希少疾病医薬品開発も行っており、2014年にアイルランドUDG社と合弁設立を果たし、アジアの販売体制を構築した。ソニーグループから譲受した電子お薬手帳「ハルモ」は21年10月に新設の子会社に移管し個人向け健康情報管理サービスのプラットフォームに育成を図っている。
財務分析
■売上高の過去5年間の推移

■営業利益の過去5年間の推移

■当期純利益の過去5年間の推移

■キャッシュフロー計算書の過去5年間の推移

■総資産・現金同等物・純資産の過去5年間の推移

■その他経営指標等の過去5年間の推移


財務状況のハイライトは売上高、営業利益、当期純利益ともに過去5年間上昇傾向を維持している。
また、直近の配当性向は62.6%となっており、当期純利益のほとんどを吐き出している。
設備投資を控えている様子もないため、この配当性向の高さはポジティブだと言える。
一方で、業界的に借入金が大きくなりやすいため、仕方ない面もあるが、自己資本比率が10%未満となっているため、財務の安定性は決して高くないと言える。
株価の動向
■直近10年間の推移

■2022年の推移

株価は2018年の高値から約半値となっているものの、直近では反転の兆しもみられるため、現在の配当性向や財務の状況を鑑みると今後も上昇基調が続くのではないかと予想される。
業界の見通しは!?
CRO事業規模:2,255億円(日本CRO協会)
CROは医薬品開発の臨床試験でのデータ収集・解析や、発売後追跡調査などを製薬会社から受託している。
2006年の薬事法改正以降の新しい産業となっている。中堅企業が多くグローバル外資との差は大きいが、経営統合による規模の拡大が進んでいる。例えば、島津製作所が日水製薬を、新日本科学がイナリサーチをそれぞれ子会社化した。
高い技術力を持つ小型中堅企業が多いだけに大手のM&Aの流れが続く可能性がある。
臨床検査・検査薬は食品検査などの事業もあって伝統的な産業だが、最先端の医療や科学技術への造詣が深く、大学との共同研究も拡大傾向にある。
病気治療から予防医療への流れも受け新規開発も進んでいる。
製薬会社の臨床試験を受託しているCROでは、一時は新型コロナの感染拡大で医療機関に出入りできない状況が続いたが緩和され、足元では新規受注が好調となっているようだ。
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新薬開発をドラマティックに描いたドキュメンタリー。直接登場しないがCROは、学術部門での基礎研究終了後、動物試験、ヒト試験と進む実用化開発で不可欠の存在。
競合他社の状況は!?
■売上高ランキング
順位 | 企業名 | 売上高 |
1 | PHCホールディングス | 3,404億円 |
2 | H.U.グループホールディングス | 2,729億円 |
3 | エムスリー | 2,081億円 |
4 | ビー・エム・エル | 1,860億円 |
5 | シミックホールディングス | 857億円 |
■売上高営業利益率ランキング
順位 | 企業名 | 売上高営業利益率 |
1 | ミズホメディー | 50.99% |
2 | エムスリー | 45.71% |
3 | タカラバイオ | 42.69% |
4 | セルソース | 33.95% |
5 | WDBココ | 26.64% |
■ROEランキング
順位 | 企業名 | ROE |
1 | ミズホメディー | 81.6% |
2 | 新日本科学 | 40.4% |
3 | WDBココ | 34.8% |
4 | ビー・エム・エル | 33% |
5 | トランスジェニック | 32.8% |
■自己資本比率ランキング
順位 | 企業名 | 自己資本比率 |
1 | 日水製薬 | 90.9% |
2 | タカラバイオ | 88.1% |
3 | セルソース | 85% |
4 | 免疫生物研究所 | 79.4% |
5 | コスモ・バイオ | 77.6% |
なぜ大人気になったのか?
シミックホールディングスが何故大注目されているのか?
それは、9月に発売した四季報に理由がある。
『会社四季報』の欄外には、営業利益の「前号比修正矢印」が掲載されている。
営業利益の予想額が前号比で30%以上増加すると「↑↑大幅増額」、5%以上30%未満の増加で「↑前号比増額」が掲載される。前号比で30%以上減額になると「↓↓大幅減額」、5%以上30%未満の減額で「↓前号比減額」、5%未満の増減にとどまるときは「→前号並み」だ(ほかにも条件あり)。
矢印マークは今期業績の「勢い」を端的に表す。営業利益の予想額が同じ金額の2社を比較した場合、「↓↓大幅減額」がついた会社よりも「↑↑大幅増額」がついた会社のほうが今期業績のさらなる上伸が期待できることが考えられる。
そして、シミックホールディングスは直近の四季報で「↑↑大幅増額」か「↑増額」が3号連続で付された数少ない企業となる。
今2022年9月期は、自治体向け新型コロナワクチン接種支援が想定以上の収益になり、業績予想の上方修正が続いた。
シミックホールディングスが期初に発表した今期営業利益予想は40億円。最新の予想は86億円にまで引き上げられた。同社の第3四半期決算時点の当期純利益は59億3200万円で、過去最高益を36億円以上も上回る。10年ぶりの過去最高益更新は確実とみられる。

今後も注目されるのか!?
現在、過去最高益更新が確実な状況になっており、配当性向も高い。コロナワクチンの接種支援も堅調に推移しており、悪い要素が見当たらない。強いて言えば、CROの業界は非常に弱い。
目次 シミックホールディングスが今大注目されている!?会社概要財務分析株価の動向業界の見通しは!?競合他社の状況は!?なぜ大人気になったのか?今後も注目されるのか!? シミックホールディングスが今大注目されている!? 今 […]
先日投稿した売上高営業利益率ランキングの記事にもある通り、CRO業界の利益率は低いため、そもそもこの業界が投資対象ではない投資家も多くいると思われる。
【2022年度決定版】売上高営業利益率業種ランキングトップ10、ワースト10と今後の動向も
しかし、そういった業界にも掘り出し銘柄は存在するため、シミックホールディングスがその掘り出し銘柄になることは十分考えられる。
よって、今後も注目されるかどうかは怪しいが、掘り出し銘柄として投資対象とするのは非常に賢い投資と言える。

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