直近のニュース
興研は1月27日に業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせを発表した。
これによると、2022年12月期の業績予想を上方修正した。
内容としては、営業利益を1,184百万円と従来予想比33%も上振れ予想とし、配当予想を45円と従来予想よりも20円の増配を見込んでいる。
このことは会社四季報オンラインにも取り上げられ、注目度が急上昇している銘柄となっている。
興研の大幅増配リリースやフジッコの最新決算に注目!|会社四季報オンライン (toyokeizai.net)
従って、興研について、詳細な分析を行っていく。
企業概要
防塵・防毒マスクの国内2大メーカーの1つとなっており、防衛省向けは独占的供給をしている強みを持つ企業となっている。
世界初の呼吸追随形ブロワーマスクなど研究開発力に定評があり、使い捨てマスクは高フィット性を武器に医療分野での採用に注力している。
マスクのハイラックと言えば、高性能マスクの取り付け方の教則ビデオやニュースで救急隊などが映る場合には身に着けていることが見受けられます。アレルギー体質の方にもベストな一品とも言われており、マスクの売上がセグメントの中で40%以上を占めている。
全社員がこの究極のハイラックマスクを着用しているそうです。笑(決算書より)
そのほかには業界初の「オープンクリーンシステム」(開放式空気清浄システム、KOACH)を開発・発売している。
※KOACHについては、こちらを参照。
KOACHは大学や研究機関、メーカーなど幅広い分野で採用進み、マスクに次ぐ柱に成長した。
全自動式「内視鏡洗浄消毒装置」なども販売している。群馬工場に使い捨てマスクの4ライン増設し、新型コロナによる使い捨てマスク需要に対応している。
財務分析
業績
過去の業績は以下の通りとなっており、2020年はコロナの影響でマスクの需要が急激に高まったことなどから大幅な増収増益となったが、2021年度は大きく業績が変動しておらず、若干利益が減っている。
しかし、2022年度はオミクロン株の出現によって、対策用の需要が拡大したことなどによって、業績が向上していることから2022年度は増収増益の予想となった。
また、2022年度より防衛費を増加させるとの報道がされているが、興研は防衛相向けマスクを独占販売している。従って、防衛関連の銘柄としても、今後の期待が高まる。

資産の状況とその他の指標について
資産の状況は堅調に推移しており、特段状況が悪化していることはない。直近1年間で大きな投資などはない。
その他の指標を見てわかるが、直近1月27日の株価急騰後もPERは約10倍、PBRは1倍を下回っており、割安銘柄となっている。
自己資本比率や流動比率などの安全性を見る指標も問題ない水準となっており、投資妙味は高い。
■資産の状況

■その他の指標について

■PERの推移

■PBRの推移

■株式保有割合
同社の株式は約7割を個人投資家が保有しており、政府系は一切保有していない。
個人投資家が多いということは配当性向などを見て投資をしている人が多いと考えられる。
従って、今回の大幅増配は個人の投資家に焦点を当てて行った会社の方針と考えることができる。

株価の動向
■直近1年間の株価推移
増配の発表があった1月27日に急騰している。
出来高を見ると、1,700円前後で購入している人が多い印象となっている。

■直近3年間の株価推移
1年間で見たときよりも高値で購入している人が多い。
ボリューム層は2,500円~2,600円前後で購入している人が多い。

業界の見通しは!?
医療機器・用品メーカーは、主に医療機関で診断や治療に使われる機器と日用品とに大別される。機器は内視鏡、人工呼吸器、MRI(磁気共鳴画像診断装置)など多岐にわたり、日用品もピンセットやコンタクトレンズなど幅広い。
日本勢は、オリンパスの消化器内視鏡、テルモのカテーテルなど、一部の分野では世界トップシェアを占めている。ただし世界市場全体で見ると、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどM&Aで巨大化してきた欧米勢の存在感が圧倒的。そのため日本における医療機器は輸入が輸出を大きく上回っている。

今後は注目されるのか!?
注目されると予想
興研は直近の増配発表によって株価を上昇させている。
同社は個人投資家が多く、増配が一番株価にインパクトを与えると思うので今後も一時的に注目を浴びると思われる。同社は時価総額が100億円を下回っており、大型投資家からの注目を浴びにくいのが難点ではあるが、昨今の防衛費増額などのニュースから防衛関連の銘柄に注目が集まっている状況を考えると同社の注目がさらに高まることも想定される。
また、2020年度も今回の増配予想と同じ45円を配当に回していた。そのころの株価は3,000円以上の値をつけていたことから、今の水準が相当割安であることを踏まえると、今後は一段の上昇が見込めると予想する。
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