REITとは、一言でいうと
REIT(不動産投資信託)とは、数億円~数百億円する複数の不動産を多くの投資家と所有し、投資口数に応じて賃料収入や売却益を配当として分配するものになります。
似ているものとして株式投資がありますが、似て非なるものと言えます。
それでは株式投資との違いも述べつつ、REITのメリット・デメリットなども合わせて記載していきます。
株式投資とREITの違いは?
株式投資の特徴は??
株式投資は例えばトヨタやソニーなど会社の事業に対して投資します。
株式投資も一つの会社を多くの投資家と所有することでREITと同じですが、会社は事業で得た収益の一部分のみ株主に還元します。会社は投資家のものでもありますが、実際に事業を動かしているのは社員であるため、社員のことも考えなくてはなりません。PANASONICの創業者である松下幸之助も「事業はひとである」と言っていることから社員を守るために事業が上手くいかなかったときなどの為に内部留保というお金を積み立てます。そのため、利益のうち一部しか株主に還元されません。

REITの特徴は??
REITは日本語で言うと不動産投資信託です。難しい言葉のため、かみ砕いてお伝えすると、「大きなモノである不動産を証券化(権利を複数人で分ける)して不動産管理会社に家賃の回収や事務などの管理をしてもらい、残った収益のほとんどを投資家に配分するという仕組みになっております。
いくつかREITにおけるキーワードがありますので解説します。
REITは会社と違い社員がいません。
前述した通り、会社には社員がおり、給料や福利厚生を確保する必要がありますが、REITには社員がおらず、代表取締役と役員しかおりません。そのため、社員のことを考える必要がありません。代表取締役と役員は株式総会で決定されるため、変な行動をする場合はすぐ退任に追い込むことができますし、自分の売り上げはREITの売り上げ次第となるため、REITを良くしよう!とインセンティブが働きます。
REITは超優良不動産会社がスポンサーになっているため、超優良物件しか保有しておらず、空室がほぼありません。
例えば、REITで一番時価総額が大きく有名な日本ビルファンドはスポンサーに三井不動産がついております。REITに組み込まれる不動産はスポンサーから買うことが多いです。そのため、三井不動産がスポンサーとなっているため都心のオフィスビルに非常に強く、超優良なオフィスビルしかREITに組み込まれておりません。コロナウイルスが蔓延する前は都心のオフィスビル最強説がありましたので日本ビルファンドは非常に強かったと言えます。(※今は、オフィスが地方に移ってしまう場合もありますので今後は注意が必要かもしれません。)
REITは複数の不動産を所有する。
REITは前述しましたが、多数の不動産を所有しています。
例えば日本ビルファンドは75物件を所有しています。その時価総額は1兆3,675億円となっております。また、空室率は非常に低く、1.5%しかありません。基本的に75物件も不動産を所有していた場合の空室率は5%以上にはなると考えられますが、日本ビルファンドの物件は超優良のため、脅威の1.5%という数字になっております。(2021年6月1日時点)
日本ビルファンドのREITを購入すれば1兆円以上の価値を持つ不動産に投資ができるのです。
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REITは流動性が高いです。
皆さんは投資の際に流動性を意識しますか?
流動性とは換金性とも言い換えられ、現金との交換のしやすさを言います。
一般的にアパートやマンションのワンルーム投資をしている場合はすぐに現金化できません。
不動産仲介業者に売りたいとお願いし、買いたい人が”表れてくれた場合”に売却することができます。
そのため、買いたい人が現れてくれるのが見つからないと数か月・数年かかってしまいます。
一方で、REITは証券会社を仲介してすぐに売却することができますし、すぐに購入することができます。そのため、現金化したいときにすぐに売却することができますし、欲しいと思ったらすぐに購入することができます。
しかし、株式と比べると取引量が少ないため、流動性の図を作るとこのようになります。

REITは利益の90%以上を配当に回す。
REITは導管性を持っていると言われています。
これは、水道管のようなものを想像してもらうとイメージがつきやすいのですが、
大きな水道管に水が流れており、水道は各家庭に引っ張られているため、いろいろなところに配分されます。これが、株式投資のイメージです。
もともとは大きな利益というものが色々なリスクなどに備えて留保(配分)されるため、実際に投資家の元に来る金額は少なくなってしまいます。


REITに投資するにはどうしたらいい?
REITは株式と同様に証券会社で口座開設をすれば購入することができます。
尚、機関投資家や数億円単位でREITを数億円単位で購入する場合は証券会社を選んだほうが良い場合があります。何故なら自分のために個別のIRをしてくれる場合があるからです。
REITの社長や証券会社のトレーダーと話す機会を作ることができるため、それぞれのREITに強い証券会社の口座を開設することがおススメですが、基本的にはネット証券で問題ないです。
ネット証券の選び方は色々なサイトで比較などがあるためここでは詳しい解説は省きますが、迷ったら楽天証券を選べば良いと思います。
REITがおススメな理由(メリット)
①利回りが高い
一般的に株式投資の平均利回りは2%程度になっています。
こちらはJPXのサイトに統計情報が記載されているため、興味がある方は調べてみることをお勧めします。
JPXその他統計資料
ちなみにこれは個別株の平均利回りです。
実際に個人の投資家は投資信託などを購入することが多いと思いますので実際には1%~1.5%程度になると思ってください。
一方で、REITは平均利回りが3.5%程度あります。
株式投資よりも圧倒的に配当が多く、REITは投資信託もありますが、個別分析がしやすいため、基本的に個別のREITを購入することをお勧めします。
②安全性が高い
株式の安定性を図る指標はいくつかあります。
自己資本比率とかROAとか有利子負債比率とかあり、これらは各会社の特徴や業種の特徴などによっても左右されるため、一般化が難しいです。
例えばソフトバンクは日本の中でも超一流企業に数えられていますが、自己資本比率がめちゃくちゃ悪いという特徴があったりします。有利子負債が大きく、格付け会社からの評価はイマイチ・・・という状態だったりします。
そもそも色々な事業を行っていることが多く、企業分析がめちゃくちゃ難しいです。
しかし,REITの安全性は非常にわかりやすいです。
基本的に所有している不動産LTVとNAV倍率という指標のみを確認すれば判断がつきます。
LTV(えるてぃーぶい)とは
不動産の評価に占める借入金の割合を表しています。REITは保有している不動産が良いか悪いかという単純な話のため、その不動産に対していくらの借入金がなされているかという指標になります。
NAV(なぶ)倍率とは
NAV倍率とは仮にREITが倒産してしまった場合、所有している不動産を売却して精算することになりますが、NAV倍率が1倍以下だと自分の投資金額よりも高い価値の不動産を所有していることになり割安ということになります。NAV倍率が1倍を超えていると自分の投資金額よりも低い価値の不動産を所有していることになり割高ということになります。
③日銀とGPIFが購入している
REITは国から非常に厚遇を受けています。
なぜかというと日銀とGPIFが買う!と宣言しているからです。
日銀は毎年最大で1,800億円のREITを購入すると宣言しており、(保有残高は7,000億円程度)
GPIFは700億円程度のREITを保有しています。
REITの市場規模は16兆円ほどで市場規模の5%ほどを日本政府系列が保有していると言えます。
そのため、国がある程度値下がりを食い止めることができるため、安定した値動きが期待できます。
ちなみに5%しか保有していないのでは値動きを操作できないのではないか?と思う方もいるかもしれませんが、一日の出来高は500~600億円になることが多いため、1日に日銀が50億円REITを購入すれば10%操作できるということになります。
④機関投資家が購入しやすい理由がある
前述してきましたが、REITは株式と比べて不動産のことしか勉強しなくて良いため、非常にシンプルです。そのため、個人投資家が取っつきやすいことはもちろん、機関投資家も購入しやすいのです。
機関投資家とは簡単に言うと”それっぽい理由をつけて上司を納得させる材料を揃えて決裁をもらい、他人のお金で運用する仕事”をしている人です。そのため、REITはシンプルのため、分析がしやすく上司を説得しやすいんですよね。利回りも高いため、決裁が比較的許可されやすいです。そのため、機関投資家の多額のマネーが入り込んで来やすいためその流れに個人投資家も乗ればいいのです!
REITのデメリット
1.株式と比べると流動性が低い
前述でも触れましたが、株式は市場規模が500兆円以上ありますが、REITの市場規模は10数兆円になっているため、やはり巨額のお金を運用するとなると流動性に欠ける気がします。しかし、個人投資家の運用資金は多くても数百万円程度だと思いますので基本的に問題ないと言えます。
2.不動産しかないため全ての不動産が倒壊した場、そのREITは終わる
REITは資産に不動産しかないため、初心者にわかりやすくておすすめだと話しましたが、裏を返せば
不動産しかないことでその不動産に問題があればリスクヘッジが出来ないということになります。
仮に全ての不動産が地震で倒壊した場合、損害保険でカバーされる部分はあるでしょうが、ほぼ価値が0になると言えます。まぁ、そのような状況になったとすると日本のいたるところで建物が倒壊し、日本は終幕へと進んでいるでしょうが・・・。
3.日銀・GPIFが売却すると値が崩れる
前述のとおり、日銀・GPIFが市場規模の5%ほどのREITを所有しているため、仮に日銀・GPIFなどがREITを売却しますと宣言するととんでもない値崩れを起こすと思われます。
イメージとしては日銀が2013年から量的緩和をスタートさせ、REIT指数は現在まで倍以上の値上がりをしていますが、これは日銀が押し上げたと言ってもよいのでその部分を消し去る可能性すらあります。
まとめ
元機関投資家の私から見てもREITというのは投資初心者におすすめで非常にわかりやすい資産になっています。
不動産投資に興味があるけどローンを組むことは嫌だし・・・。という方は初めにREITの投資からスタートしてはいかがでしょうか。
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